SSブログ

ラトーヤの本「Starting Over」の感想(2) [Startin' Over]

前回の「Joseph」に続き、今回は「Conspiracy」についての感想です。

ラトーヤのワンコ 「プリンス」くん
prince (2).jpg

「Anniversaryに寄せて」で書いたように「黒幕を責めること」にはどうしても興味が持てないため、本書の終盤の多くを占めるこの内容を評価するのは難しいです。が、「それがウリ」みたいなプロモーションですし、書いておきます。(実際は、本書の白眉は、前半~中盤にかけてのテーマ「Starting Over」だと感じました)

家族として「あの人」や「この人」や「あの会社」に対して並々ならぬ怒りが沸くのはとても納得できますし、エンタメ界の底辺を自ら体験した彼女だからこそマイケルの陥った状況が理解できるのは痛いほど伝わってきました。

また、マイケルの言葉"they're gonna murder me"を聞いてしまったラトーヤの気持ち、マイケルのポストイットメモの内容"I hate..."や、家族のおかれた理不尽な状況、裁判を意識してか家族にはお悔やみの一言もない彼ら、これらを読むとどうしても家族の怒りに共感してしまいます。

リンク>>ラトーヤのインタビュー@KTLA ここにきてインタビューでも実名が飛び交うようになり、少し心配。

でも…、「Justice」辞書的には「正義」だし、間違っちゃいないのかもしれませんけど。。どうも、アメリカの「Justice」って、日本語でいうと、結局のところ、要は、 「仇討」 なんじゃないの?ファンとして、その先に救いが感じられないのは読む前と変わりません。

ラトーヤ以外の家族の多くも私と同じように考えているのかもしれません。彼女自身、「私の闘いは多くの家族には理解されないが、今は家族皆がそれぞれのやり方で悲しみに対処している時期である。また、悲しみが癒え、家族がひとつになれる日がくるだろう。」と評しています。
他にも意見の合わないことは多いようで、、

---------------
(追悼式のあれこれを話し合う家族 p303)

「マイケルには豪華すぎるなんてことはないわ」私は言った。
「あなた、彼を誰だと思ってるの?」リビーが言った。
「彼は伝説。世界で一番偉大なエンターティナーよ。」
「いいえ、違う」リビーは言った。「彼は、あなたの弟よ。」
「ダイアナ妃のような追悼式にしないと」私は言った。
「君、頭おかしいのか?」家族の一人が私に聞いた。
「いいえ、おかしくなんかないわ。マイケルならそれを望んだはずよ。」

私はマイケルのために闘っているはずなのに、いつも黙らせられるのだった----
---------------

家族の「客観的な目線」により読む者を安心させるようなところがあちこちにあります。


以上のように、とても共感性の高い内容ですけれど…、
「Conspiracy」の内情を論理立てて説明することにおいては、下記の本が上を行くのではないかと思います。

What Really Happened to Michael Jackson, the King of Pop: The Evil Side of the Entertainment Industry

What Really Happened to Michael Jackson, the King of Pop: The Evil Side of the Entertainment Industry

  • 作者: Leonard Rowe
  • 出版社/メーカー: Linell-Diamond Ent.
  • 発売日: 2010/06/15
  • メディア: ペーパーバック


後日追記→日本語版が出ていました:マイケルに起きた真実 ― The Michael Jackson's Story

Victory時代からマイケルと仕事をしていたコンサートプロモーターであるレオナルド・ローによる本です。

ちなみに私は読んでおらず、日本アマゾンと米国アマゾンのレビューに基づき、さまざまマイケル本を読んできた勘で判断したのみですが…、それを見る限り、おそらくこの本は、文章が読みやすく、論理的であり、内容の信憑性も高い、の三点が揃っている、良書のようです。

著者に対してはA○G側のネガティブキャンペーンがあったようですが、「ビジネス手腕」と「人間としての信頼性」は必ずしも相関しないので、あまり気にしなくても良いように思いました。

この本の論旨は、

---------------
「Conspiracy」といっても、あくまでもビジネスとして事は進み、利益を上げうる選択肢の一つとして、実際に起こったような結末も想定されており、結局そうなってしまった。
---------------

というもののようです。(レビュー読んだだけですけど 汗)

「Starting Over」でも上記の本を引用しており、ラトーヤの言わんとすることはこの本に書かれていることと近いのだと思います。

なんか、「ふうん」「犯罪でなくビジネスなら罪に問えない」と流してしまいそうですが、
「つまりは、誰も彼のことを本当に考えてる人はいなかった」ということであり、
冷え冷えとした恐ろしさを感じます。

ここからはただの私の妄想ですが、

でも彼は決して、無自覚に策略に溺れて行ったのではないと思う。

マイケルはそんな、自分の死の可能性も組み込まれたプロセスの中にいる状況を全部理解したうえで、自分のベストを尽くそうと努力していたのではないか。

でも気持ちには波があり、波が低い時には、あのようなメモを書かざるを得なかった。
でも波が高い時には、その目には確かにステージの完成形が見えていたと思う。

ファンは無邪気に後者に感動できるけれど家族には難しいのも理解できる。
でも、もっと時間が経ったら、そんな文脈でもう一度彼の最後を描き出すことはできないか?

そう思ってしまったのが偽らざる感想です。
しかし、これほど読後感が悪くなりそうな内容にもかかわらず、
それでも読ませるのはラトーヤの筆力と持って生まれた前向きさだと思いました。
よくぞ、ここまで向き合って書いた、といった感じです。
そういう行為が彼女にとっては先に進むために必要なのかもしれないです。



Starting Over

Starting Over

  • 作者: La Toya Jackson
  • 出版社/メーカー: Gallery
  • 発売日: 2011/06/21
  • メディア: ハードカバー
注:この表紙はウソです



見ていただいてありがとうございますm(_ _)m
よろしければぽちっといただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへにほんブログ村 音楽ブログ 洋楽へ
タグ:ラトーヤ
nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 2

yomodalite

いつも楽しく拝見しています。以前、他のブロガーの方から(私のブログに敵意をもっている方から)嫌がらせを受けたという報告があり、他へのコメントは一切控えていたのですが、どうしても、ラトーヤ本の紹介にお礼を言いたくて「禁」を破ることにしました。(何かご迷惑があったらごめんなさいね)

わたしにとって、英語本を読むのは、とても困難なのですが、それでも、多分こうだろうと思っていたことと、同様の感想を、信頼できる方から聞くことが出来て、とても嬉しく、安心いたしました。

>でも彼は決して、無自覚に策略に溺れて行ったのではないと思う。

まったく同感です!!!
by yomodalite (2011-07-04 14:52) 

Mee

yomodaliteさん!!
こちらこそいつも楽しく刺激を受けながら拝見しています。
ここはそんなにmajorな場所ではないので、大丈夫ですv

この本の前半は、前作と同様に、物事の両面を見る冷静さとか、なんか笑える語り口が秀逸で、「再会」に嬉しくなっちゃったぐらいなんですけど、、後半はまだ渦中にいるからか、ラトーヤの頭の中でそこまで整理されていないような、、彼女の現在の目的からするとこの書きぶりも仕方ないかと思いますが。

>でも彼は決して、無自覚に..

私は消去法でそう思うだけなんですけどネ。そのへんの人がうっかり騙されるのとはわけが違うだろうと思うし、、そもそも、ラトーヤだってそうだったのでは、と。

yomodaliteさんのブログは「考察」の書かれているほんとに数少ないMJブログのひとつですので変な輩に負けないでくださいね。(あ、MJブログじゃないんでした^^)
by Mee (2011-07-06 07:58) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。