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「Unbreakable」考 --- ”メッセージ”編 [雑感]

だいぶ間があきましたが、「考えてみる」記事の3曲目、「Unbreakable」についてです。

MJ_invincible_ny.jpg

<2001年 Online Audio Chatより>

インタビュー音源(part1  9:38~):
http://www.youtube.com/watch?v=Rq2snwHdmOU

Q: which song on the Invincible album do you think you personally relate to the most?
「Invincible」のアルバムであなたが個人的にもっとも共感を覚える歌はどの曲ですか?

Michael: Ummm, Unbreakable.
うーん、、、、Unbreakable。

Anthony: Talk a bit about that track. Now you mentioned it a couple of times, I'm getting really curious about it. Could you... What could you tell us about it?
その曲について話してもらえますか?これまで何度か、その曲について触れていますね。とても知りたくなってきました。何か。。それについて聞かせてもらうことはできますか?

Michael: 'Cause, uh, I' m one of the few people, probably in show business, that have been through the ins and outs, you know, of so many different things. Um, I've been through hell and back. I have, to be honest, and uh, and still I'm able to do what I do and nothing can stop me. No one can stop me, no matter what. I stop when I'm ready to stop.
そうですね、ええと、僕は、ショービジネスの世界では、浮き沈みを経験してきた、数少ないうちの一人だと思うのです。色々な意味でね。正直なところ、地獄を見てきましたから。それでも、僕はまだやり続けているし、何物も僕を止めることはできない。誰も、何があっても、僕を止めることは出来ないんです。僕がやめるのは、自分でそう決めたときなんです。

スクリプト:
http://www.allmichaeljackson.com/interviews/onlineaudiochat.html


<歌詞抜粋>

You can't believe it, you can't conceive it
and you can't touch me, 'cause I'm untouchable

君には(僕の強さが)信じられないだろうし、想像もつかないだろう。
僕には指一本触れられない。僕はuntouchableなんだ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

アルバム「Invincible」の一曲目で、私が個人的に好きな曲であり、マイケル本人も、好きな曲、最も共感する曲として挙げている「Unbreakable」ですので、私なりに感じたことを書き記しておきたいなと思ったのですが、

この、ずっしりと重厚な曲を、言葉に変換するのは、思った以上に困難な道のりでした^^;
歌詞を良く読んで、繰り返し聞くほどに、逡巡し、、ようやく収束して、記事にできるようになりました。

「Unbreakable」「アンブレイカブル」「不屈」。このタイトルと、リリースのタイミングから、浮かぶキーワードは、強さのアピール、マスコミやレーベルへの抗議、あるいは、ファンへの宣言、子どもたちへの宣言、自分への鼓舞、強がり、、などでしょうか。

つまり、「強いんだぞ!」と言いたいのね、と多くの人は思うでしょうし、私も思ったのですが、

しかし、この曲の歌詞と、メロディと、歌い方から、浮かんでくるのは、
「最強の、かっこいい、ヒーロー」の姿ではなく、
もっと、ぎりぎりのところで、負けるかもしれないけれども、それでも歩き続ける人の姿 というか。。

同じ「強さ」でも、何かがちがう。

さらに、いつもそうですが、この曲の歌詞では特に、マイケル本人を想起させる単語が意識的に排除されていますよね。

歌詞参考:
http://mjwords.exblog.jp/10177709/
http://d.hatena.ne.jp/gracemoon/10000201/p2

すなわち、もっと普遍的に、人間の資質としての「不屈」、その尊さを、この曲は切り取っていると言えるのではないか。

また、「勝つこと」ではなくて、「不屈の精神」そのものにこの曲の主眼があるのではないか。


この曲が、マイケル自身の闘いを歌っているにも関わらず、
多くの人が、自らも励まされるように感じるのは、
静かに耐え、ひたむきに努力し、信念を貫くすべての人の心に響くからであり
それは、楽曲が普遍的なメッセージを持っていることの証明でもあるはずです。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


さて、「Unbreakable」の歌詞について考えているとき、
たまたま、別のところで、下記の言葉に出会いました。

「勇気とは、重圧下での気品である」
Courage is grace under pressure
(アーネスト・ヘミングウェイ)

マイケルに似合う言葉だなーと思い、
そういえば、「Unbreakable」のテーマはヘミングウェイの「老人と海」に近い。。
と連想したのですが、
ヘミングウェイを唐突に持ち出してくるのも妄想が過ぎますし、この考えはお蔵入りするはずでした。

しかし、これもたまたま、
「マイケルは、老人と海、その他ヘミングウェイの本を愛読書として紹介していた」
という情報を、最近知りまして!(←遅?)

妄想から確信へと一気に格上げ、日の目を見ることとなりました。

情報元はこちらの記事でした。リンクさせていただきますm(_ _)m
http://blogs.yahoo.co.jp/shunshouataisenkin/32034114.html


老人と海 (新潮文庫)

老人と海 (新潮文庫)

  • 作者: ヘミングウェイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/05
  • メディア: 文庫



原書の本文、全文がこちらにあります。
http://www.classic-enotes.com/american-literature/american-novel/ernest-hemingway/the-old-man-and-the-sea/full-text-of-the-old-man-and-the-sea-by-ernest-hemingway/

「あらすじ」はこちら(wiki)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%80%81%E4%BA%BA%E3%81%A8%E6%B5%B7

主人公は、老いた漁師で、一般的なカッコよさを備えているとは言えません。
長い不漁の末、ようやく釣った大きな魚も、鮫にすべて食べられ、失ってしまう。
しかし、それでもまた、金のライオンの夢を見て、漁に出る。。

本書から、どのようなメッセージを受け取るかは、人それぞれですし、マイケルが愛読書に入れた理由も、本人の口からは語られていません。もしかしたら、簡潔な文体で読者に想像を委ねるヘミングウェイの「技巧面が」好きだったのかもしれない。

しかし、闘うことの本質(すなわち生きること)を切り取ろうとしたこの作品に、感銘を受けたとしてもまったくおかしくないし、早くから老成したような精神を持っていたマイケルは、本書のエッセンスに若くして共感できたのだろうと、私は確信しました。
(読んでいない方は、Amznのレビューを参照ください)

本書より:

「この男のすべてが古かった。ただ眼だけがちがう。それは海とおなじ色、不屈な生気をたたえていた。」
Everything about him was old except his eyes and they were the same color as the sea and were cheerful and undefeated

「人を打ちのめすことはできても敗北させることはできない」
a man can be destroyed but not defeated.


また、本作のレビューに興味深いものがあり、引用させてもらいます。

>アメリカのプロレスラー仲間における最高の称号は「Tough Guy」であり、単なる「Strong Man」にはさほど敬意が払われない。「Strong Man」だからと言って必ずしも「Tough Guy」であるとは言えない。「Tough Guy」が必ずしも「Strong Man」であるとは限らない。老いた貧乏漁師の主人公は、肉体的にも、経済的にも、社会的地位においても、さらにはゲームの敗者という意味でも、つまり、あらゆる意味において「Strong Man」ではないが、紛うことなき「Tough Guy」である、つまりは、「決して敗北せざる者」である。

「Unbreakable」で描かれているのも、一般的な「強さ」という言葉では表現できない、ぎりぎりの状況になろうとも「決して敗北せざる者」の姿で、それが、歌詞と、音と、両面から迫ってくるために、聴いている側は、そうと意識していなくとも、切なくなるのだろうと思います。

しかし、マイケルの場合、一般的な「強さ」も兼ね備えてしまっているために、伝わりにくかったと思います。
いまだからこそ、わかる。



以上、メッセージ編でした。

「音」編に続きます。

(実は、「関連作品」として「雨ニモマケズ」も浮かんだのですが、記事に昇華できず、断念。。)


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タグ:マイケル
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ジャクソン6

Mee さん、こんばんは。

「Invincible」の先行シングルとして、「Unbreakable」に20分のショートフィルムを付けて先行シングルとして発売したいというのがマイケルの意向たっだというのは、ご存じですよね。
それがレコード会社は「時間をかけたくない」という理由で、「Unbreakable」から「You Rock My World」になりました。

「Unbreakable」では、マイケルは進化した新しいダンスを披露する予定だったそうです。マイケルの意向通りにしていれば、「Unbreakable」のショートフィルムが観れたんです。悔しいですよね。

「Unbreakable」のショートフィルムが「BAD」や「Remember The Time」のような映画仕立てのショートフィルムなのか、どんな感じになっていたのでしょうね。

あ~「Unbreakable」のショートフィルム観たかったです!
by ジャクソン6 (2011-08-18 22:37) 

mari-ko

とても共感します。
本当に強い人は、「老人と海」にも感じますが、本当に美しいです。かっこいいを通り越してというか、別の次元で。。

「音」編楽しみにしてます!


by mari-ko (2011-08-18 23:16) 

Mee

ジャクソン6さん、こんにちは。

"「作られなかった映像」編" も、すごーくすごーく気になるテーマですけれど、、今回は「作られたもの」に絞って考えてみたいと思います。


by Mee (2011-08-21 18:10) 

Mee

mari-ko さん、こんにちは。

「音」編も、私見もりだくさんでお送りします!(笑)
しかし、音作りの専門的なことはまるで分からないので、、
mari-koさんのレビューを楽しみにしています^^


by Mee (2011-08-21 18:23) 

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